自動床洗浄機は本当に「自動」なのか?




近年の技術進歩とAIの発展は、全ての業界に革新をもたらしています。かつて「自動」と称された機械は、今ではその表現が疑問視される時代となりました。未来では「自動運転車」が一般的になり、「自動車」の表現は使われないかもしれません。それは、「自動運転の自動車」という表現は冗長だからです。

同様に、自動床洗浄機(Auto Scrubber)の「自動」という言葉も時代遅れに感じられます。AIを搭載したロボット洗浄機が、今日の「真の自動床洗浄機」であるかもしれないからです。そんな「先進的なロボット洗浄機」と、「旧来の自洗機(ジセンキ)* 」の現状と未来を考察します。

* 自動床洗浄の略称。地域に関係なく日本各地で、このように表現することが多い。※ポリッシャー.JP調べ


自動床洗浄機の「自動」の意味は?


自動床洗浄機は、床を洗浄するだけでなく、汚水を吸い取るウェットバキューム機能を持つ清掃機械です。その名称の「自動」は、「洗浄と同時に ”自動的” に汚水を回収したり、マシンが通過するだけで床洗浄が ”自動的” に完了すること」を表しています。

ポリッシャーとウェットバキュームの2つの機能が一体化し、使用者が手間をかけずに床洗浄を行える、という点で「自動」であるといういうことです。しかしこれでは、完全な自動化にはほど遠い状態で、ロボット洗浄機が登場した現在では、旧来の自洗機は言わば「半自動床洗浄機」です。

自律走行可能なロボット洗浄機を「自立した大人」に例えるなら、「半自動床洗浄機」はまだ「半人前の子供」というイメージでしょうか。デジタルなロボット洗浄機に対して、アナログ的な旧来の自洗機は、今後も存在し続けられるのでしょうか。また存在するのであれば、どのように変化するでしょうか。それを考える前に、先ず清掃ロボット(ロボット洗浄機に加え、除塵用ロボットも含む)の現状を見てみましょう。



清掃ロボットのメリット


現在、ビルメンテナンス業界は大きな変化を経験しています。変化の中心には、人手を借りずに自動で動く清掃ロボットがあります。清掃ロボットが業界にもたらすメリットは以下の通り多数存在します。


  • 人材不足解消:ロボットは人の手を借りずに作業を行うため、人手不足の問題を軽減します。
  • 効率的:ロボットは一定のパフォーマンスを安定して提供し、人間では難しい一貫したクオリティの清掃が可能です。
  • コスト節約:長期的には、ロボットは人手による掃除よりもコスト効率が良い場合があります。
  • 24時間稼働:ロボットは休憩や睡眠の必要がないため、必要に応じて24時間稼働させることが可能です。

今、清掃ロボットはどのレベル?


「車」の自動運転は0から5のレベルで表されます。レベル0は全て人間が運転を行います。レベル1からレベル2(ハンズオフ可能)は人間が主に運転を行いつつ、一部の機能を自動化しています。レベル3(アイズオフ可能)では、特定の条件下で自動運転が可能ですが、緊急時には人間が介入する必要があります。

レベル4(ブレインオフ水準)では、特定の条件下で完全自動運転が可能で、人間の介入はほぼ不要です。そしてレベル5(運行設計不要)は、全ての条件下で車が完全に運転を行う状態を指します。

この自動運転のレベルを床洗浄機に当てはめてみると、旧来の自洗機はレベル0か1に該当するでしょう。操作者が主に運転を行いつつ、一部の機能、例えば洗浄や水回収が自動化されています。しかし、マシンの移動や状況への対応(例えば障害物の検知や避ける行動)には人間の操作が必要です。

一方、最新の清掃ロボットには、自己位置推定、障害物の検知と回避、最適な洗浄パスの計画と実行ができる機種も存在します。特定の環境下(例えば特定の建物内)では、人間の介入なしに自動運転が可能なブレインオフ水準であり、これはレベル4と言えます。こう考えると、少なくとも日本国内では、清掃ロボットの自動化レベルは、車よりも進んでいるのかもしれません。2024年5月現在、車の自動化はまだ「なんちゃってレベル4」に留まっているからです。

そして、大規模な事故や人身事故の可能性が車よりも低い清掃ロボットは、更なる技術進歩により全ての環境下において、運行設計なしに完全自動運転が可能なレベル5に達する日も遠くないかもしれません。ロボット自身で汚れを検知し、適切な洗浄方法を選択し、そして清掃を完遂する「正真正銘の自動床洗浄機」と呼ぶべき未来のロボット洗浄機は、いつ登場するでしょう。



自洗機(ジセンキ)の強み


ロボット洗浄機と比較して、旧来の自洗機には以下の長所があります。


  • 洗浄力:ロボット洗浄機より強く洗浄できます。加圧できるタイプもあります。
  • 低コスト: ロボット洗浄機に比べ、初期費用を低く抑えられます。
  • 操作性: ユーザーが直接操作できるため、特定の汚れた場所への対応が容易です。
  • 柔軟性: 障害物や特定の状況に対する人間の即応性を活かせます。
  • 保守性: 修理や部品交換が容易で、長期的な保守も手間がかかりません。
  • 非依存性: 電源やネットワーク接続などの外部インフラに依存しない運用が可能です。

自洗機(ジセンキ)に進化は不要?


清掃ロボットの進化は目覚ましく、その技術の進歩は清掃作業の効率を高めています。しかし、その一方で、旧来の自洗機が役目を終えるわけではありません。むしろ、自洗機の進化は引き続き重要な課題です。なぜなら、清掃ロボットと自洗機は、もともと異なる役割を果たすために存在しているからです。そのため、自洗機は今後も独自の進化を遂げるはずです。

自洗機の進化については多くの可能性が考えられます。例えば、バッテリー性能の向上により稼働時間が長くなるかもしれません。また、小型自洗機の洗浄能力向上により、より効率的な清掃が可能になるでしょう。

さらに、中型以上の自洗機では、センサーやカメラを搭載し、衝突防止機能や自動ブレーキを備えたレベル3程度の自動化を実現するものが登場するかもしれません。これにより、自洗機の安全性がさらに向上することが期待できます。

また、初心者でも使いやすいように、人々をサポートする機能が充実してくることも予想されます。このような機能の充実により、自洗機はより使いやすく、便利なツールとなっていくでしょう。

そして、この進化において、ユーザーからのフィードバックが重要な役割を果たします。ユーザーの意見や要望は、自洗機の改良や新たな機能開発のきっかけになる可能性があります。今までも清掃業界では、ユーザーからのフィードバックを大切にし、それを元にメーカーが製品の改善と進化を推進してきた経緯があります。

もし自洗機に関するご質問やご意見がありましたら、お気軽にポリッシャー.JPへご連絡ください。また、特定のマシンに対するご意見やご要望も、是非ともお寄せください。


清掃現場「今と未来」のストーリー

半人前ロボットといたずら好きな猫


自動清掃ロボットと遊ぶ猫

とあるオフィスビルに、半人前の清掃ロボット「ハンペン」が導入されました。ハンペンは、床掃除やゴミ拾いなど基本的な清掃業務をこなせるものの、まだ不慣れで失敗することもありました。

ある日、ハンペンがオフィスを掃除していると、いたずら好きな猫がハンペンの前に立ちふさがりました。猫はハンペンの足を引っ掛けたり、前に飛び出したりして、ハンペンの掃除の邪魔をします。

ハンペンは、猫を避けようとしますが、猫はますますいたずらをしてきます。ハンペンが猫を無視すればするほど、猫はいたずらに拍車をかけてきます。しまいには、ハンペンのポリッシャーに飛び乗り、得意げにポーズを取る始末です。

ハンペンは、猫のいたずらに振り回されながらも、なんとか掃除を完了しました。しかし、掃除を終えたハンペンが振り返ると、そこには猫がちょこんと座っており、ハンペンを見つめていました。猫は、いたずらをしたことを反省しているのか、それともまたいたずらを始めようとしているのか、その表情は読めませんでした。

ハンペンは、猫に近寄り、優しく頭を撫でました。すると、猫はゴロゴロと喉を鳴らし、ハンペンの手にすり寄ってきました。

ハンペン: 君は、寂しかったのかな?だから、いたずらをして、ボクの注意を引こうとしたんだね。

猫は、ハンペンの言葉に大きく頷きました。

ハンペン: ボクも、寂しかったんだ。だから、このオフィスビルで働くことを決めたんだよ。

ハンペンは、猫に自分の過去を語り始めました。ハンペンは、もともと工場で働くロボットでしたが、ある日、工場が閉鎖されてしまいました。ハンペンは廃棄される運命でしたが、運よくこのオフィスビルに拾ってもらうことができたのです。

ハンペン: 君も、寂しいなら、いつでも一緒にいよう。

ハンペンは、猫に手を差し伸べました。猫は、ハンペンの手に甘えん坊のように顔をすり寄せました。こうして、半人前の清掃ロボット「ハンペン」といたずら好きな猫は、予想もしなかった友情で結ばれたのでした。